長崎

2025年 9月例会

2025.09.02

会 場:
ヒルトン長崎3階 キャプタインスカマー

<ゲスト>

 金沢 知樹 (脚本家・演出家・構成作家・映画監督)

 

<聞き手>

 平家 達史 氏 (新産業創造委員会 委員長/長崎放送 論説委員)
 塚田 恵子 氏 (NBCソシア 取締役)

 

<トークテーマ>

地方発のエンタメによる地域活性化について

 

 

 「設定」が大切

 ものづくりで一番大事なのは「設定」だと思います。映画でも、設定がしっかりしていると物語が作りやすい。それは、商売や仕事にも通じる話です。弱点と思えることも、見方を変えれば強みにできると思っています。つまり、長所と短所は表裏一体のもので、たとえば、長崎の山の上に空き家が多いこと。これは一見マイナスですが、工夫次第で活かせるはずです。空き家が多い=可能性がある、という見方もできると思います。

 

 エンタメのキーワードは「昭和」

 今、「国宝」という映画がヒットしています。長崎の映画館も年配の方で満席でした。これから高齢化が進む中、「昭和」への回帰は、エンタメの一つの流れになると思っています。実際、『三丁目の夕日』のような作品も、その流れの中にあると思います。

 

 長崎は「知ってほしい場所」

 僕にとって長崎は、ただの観光地ではなく、「知ってもらいたい場所」です。たとえば長与のような、普段はあまり注目されない場所にも物語があります。作品を通じて、そうした場所の魅力を伝えていきたい。

 

 ストーリーブランディングの力

 取材した製麺所では、毎日湿度に合わせてちゃんぽん麺の水分量を調整しているんです。そんな職人の努力を知ると、“ただの麺”が特別なものに見えてくる。それがストーリーの力だと思います。

「毎日水の量を変えている」と聞いただけで、「なんで?」と興味がわく。こうした背景を丁寧に伝えることで、商品や地域の魅力が伝わると思っています。

 

 地方にこそ物語がある

 たとえば九十九島。地元の人には当たり前の景色でも、実は世界に誇れる美しさがあります。「この場所から見る夕日が一番きれい」といった、地元の人しか知らない価値こそ、大きな資源です。

 Netflixなどでも、今は大都市ではなく、地方のローカルな物語に注目が集まっています。長崎にも、そうしたチャンスは十分あると感じています。

 

 ロケ地としての長崎の魅力

 大阪や北海道のように景色が美しい場所は全国にありますが、長崎の一番の魅力は「人」です。優しくて、個性的な人が多い。そうした人たちがつくる空気感こそが「長崎らしさ」だと思います。

 

 長崎の経済界へ伝えたいこと

 伝統を大事にしながらも、新しい技術を取り入れる。そのバランスが大切です。これは脚本家だけでなく、企業にも言えること。人材育成や後継者の育成にもつながる考え方だと思います。

 たとえば山道を歩くとき、足元ばかり見ていれば転ばないけれど、頂上を見失うこともある。逆に、頂上ばかり見ていると石につまずく。だから、「足元を見ながら、同時に遠くも見る」ことが大事です。

 

 最後に

 これまでのすべての経験が、今の作品づくりにつながっています。そして、今の経験がまた10年後に生きてくる。そう思うと、これからが本当に楽しみです。

 

NBC Pintで取り上げていただきました! ←動画視聴はここをクリック

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