2025年9月例会
2025.09.02


学 校:
長崎大学 経済学部
役 職:
准教授
講演者:
辺見 英貴
テーマ:
従業員の「働き続けたい」を引き出す組織づくり
近年の転職者数の増加に触れ、従業員が一つの企業にとどまり続けることが難しくなっている現状を問題提起された。そのうえで「なぜ人は働き続けたいと思うのか」という問いを軸に、ワーク・エンゲージメントの概念を分かりやすく解説された。
ワーク・エンゲージメントとは「仕事に関連するポジティブで充実した感情と認知」であり、活力・熱意・没頭の3要素で測定される。これを高めることで、離職率の低下や組織への愛着、自発性の向上といった効果が得られるという。
さらに、エンゲージメントを支える要因として「仕事の資源」と「個人の資源」の双方を挙げ、個々の強みや自己効力感、レジリエンスの重要性を強調した。その実践的手法としてジョブ・クラフティング――仕事の捉え方や方法、人間関係の再構築によって「やるべきこと」を「やりたいこと」に変えていく取り組み――が紹介された。
最後に辺見氏は、エンゲージメント向上には業務の中で立ち止まり、対話を重ね、従業員一人ひとりの仕事観を理解することが不可欠だと締めくくった。本講演は、従業員定着に悩む企業にとって多くの示唆を与える内容であった。